石仏雑感

「お地蔵さん」と親しく呼ばれ、錫杖を右手に持った坊主頭の
 「地蔵菩薩」や、仲睦まじい男女像の「道祖神」など、石に刻まれた
仏像や神像などを総称して石仏と呼んでいます。

像を丸彫り・浮き彫り・線彫りした石仏、文字を刻んだ石仏、
寺院の境内や路傍などに祀られた小さな石仏、自然の岩肌などに
刻まれた大きな石仏など多種多様です。

自然そのままの岩肌や巨石に刻まれた石仏を特に磨崖仏と呼んでおり、
鬼が一夜で築いたという険しい石段伝説のある熊野磨崖仏など、
大自然に溶け込んだ姿はその場を去りがたい神秘的な魅力があります。

石仏は寺院やお堂の中に祀れている仏像と異なり「何時でも誰でも」
直接対面して手を合わせ祈ることができ、近年まで庶民の
身近で大切な「心の拠り所」でした。

しかし、明治以降の文化の興隆などに伴い、一部の石仏を除き
その役割を終え道端の隅や寺院の片隅などに追いやられ、
人々からすっかり忘れ去られようとしています。

庶民の心を支えてきた石仏は、その地域の信仰や文化等を
色濃く伝承して来たように思います。

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