農耕民の神々

古来から農耕民の間で「田畑を見守り豊作をもたらす」と信じられた
「田の神信仰」が伝承されています。石に刻んだ「田の神」は、全国各地で
農神・作神・地神・田神・タノカンサァ等と呼ばれ田畑に祀られています。

春の農作業開始時期になると「山の神」が里へ下って「田の神」となり、
秋には再び山に帰って「山の神」になるという春秋去来の伝承が
各地に残っているようです。

農作物にとって水は最も重要で、その状況によって収穫量が大きく左右
されることから「水の神」も田畑や用水路沿いに多く祀られています。

この展示面左側の6枚は、鹿児島や宮崎の旧薩摩藩内の田畑に祀られた
タノカンサァです。 自然石型・神官型・仏像型・農民型の像容があり、
農民型のユニークな姿は去りがたい親しみを感じます。

新しく開墾した田に、豊作の続く村の「田の神」を盗んで祀り五穀豊穣を
祈願、3年後には必ず返却する面白い?風習があったようです。

返却する時、お礼に酒・肴を持参し盗んできた集落の人々と一緒に
盛大な酒盛りをしたとか。

地元に訪れ探し歩いたとき「タノカンサァ」や「田の神様」と親しく呼び、
かなり遠くまで道案内してくれました。

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